藤原亮司氏(ジャパンプレス)は、パレスチナ、シリア、ウクライナ、ドネツク、レバノン、イラク、アフガニスタンなど、イスラーム圏諸国、在日コリアン、原発事故及び震災関連の取材を続けておられます。
5月17日に、「空の見える監獄 ガザで何が起きている?」をテーマに、社会防災学科3年次生の水本ゼミのほか合同ゼミと経済学部の岡部芳彦先生のゼミの3年次生が参加しました。
講演のはじめに、もともとパレスチナに住んでいた多くの人々が土地を奪われ、ユダヤ人の国であるイスラエルが建国された経緯を説明しました。パレスチナはヨルダン川西岸地区とガザ地区に分かれる2つの地域で、ガザ地区は名古屋市と同じぐらいの面積に約222万人が暮らしています。
2023年10月7日、ガザ地区とイスラエルの境界近くで開かれていた音楽イベントをハマスの戦闘員が襲撃したことをきっかけとして、イスラエル軍によるガザ地区への大規模な攻撃により、ガザの人々の命と尊厳が奪われつづけています。
ガザ地区の失業率は「実質70%を超える」と言われており、人々はガザから出ることは許されず、「空の見える監獄」のなかで、占領しているイスラエルではなく、日本をふくむ国際社会や国連によりずっと支援されてきました。10月7日以来、イスラエル軍の激しい攻撃にさらされ、人々は大家族でロバや徒歩でガザ地区の北部から南部へ避難しましたが、南部も攻撃され再度避難を余儀なくされています。「防災学科の学生さんはテントでの暮らしが大変なのが分かってもらえると思います」と避難者のテントが並ぶ写真を示しました。
報道で「ハマス」とみなさんも聞いたことがあると思いますが、ガザにおいて政治や行政を行なう部門を含めた総称を「ハマス」といい、軍事部門は「カッサーム旅団」といいます。現在でも「ハマス」の医療、教育、社会福祉などの活動を行なう部門が存在し活動しています。「ハマス」や「テロリスト」と聞くと、そのまま思考停止におちいってしまいそうですが、「テロ」「テロリスト」という言葉は国家や政府、つまり体制側・権力者側が定義する言葉であり、本当はどうなのか。また、これほどまでに世界の人たちや国々、組織に関心を持たれ続けながら、これほどまでに完全に黙殺されてきた問題はありません。みなさん、考えるのをやめないでください、と話されました。
参加者より、「これを機に、ガザなどのニュースを見たら、今までの視点を変えて注目したい」、「今後は報道が本当に正しい見方なのかを考えながら情報に向きあいたい」などのコメントがありました。